「月ちゃん」が踊って。

思い出話や今のこといろいろ

大人の階段

最近 高校時代の友人、佳美から連絡があった。同級生で仲の良かった加奈子がバツ2になり、今は年下の彼氏の料理屋を手伝っているのだという。

加奈子の店、今度一緒に行こう、きっと喜ぶよ。

 

バツ2になったのにまた新しい彼氏の店を手伝っている、ということは懲りていない。昔から加奈子はバイタリティーがあったので3度目もあるかもしれない。

 

 

こざっぱりした清潔感のある店に入ると奥の席に通してもらった。厨房の男性が会釈する。

加奈子に会うのは高校卒業後初めてである。

三人顔を見合わせて、お互いに変わってないね、変わってないね を繰り返す。正直、30年たって変わらない訳がない。原型はとどめているが、老朽化は否めない。

高校の時  教室の後ろの席で見ていた佳美のツヤツヤ輝く綺麗なストレートの黒髪   聞けば30代後半から若白髪が出て、毎月毛染めをしているらしい。今は毛先がパサパサしている。

加奈子はうらやましくなるほどに、足首やウエストがくびれていてスタイル抜群だったのに、今はいったい何を食べているのだ?

もちろん、二人も同じことを考えているに違いない。そんなことを言っている私が一番老けている。

 

中身はちっとも大人になれないまま、年月だけは過ぎていく。最近は友人との会話に 年寄りのようなキーワードが増えてきた。

少女が 大人の階段を登って そこで終わりではない。その後、おばさんへの階段を登り、老婆への階段も登っていかなければならない。

老婆への階段を登る姿は誰にも注目されないが、そっちの階段の方がずっとずっと長いのである。

 

 

内容のせいかドキュメンタリー調になってしまった。

とにかく、今夜はパリパリ鶏皮と野菜をたっぷり食べよう。元気いっぱいな婆婆になって階段なんて二段飛びで駆け上がってしまおう。